猫の慢性下痢とは?原因と対処法を獣医師が解説
猫の慢性下痢ってどんな状態か知りたいですか?答えは、通常より柔らかいうんちが何週間も続いたり、繰り返し起こる状態のことです。うちの猫も去年慢性下痢になったことがあるんですが、最初は「ただの食べ過ぎかな?」と思って軽く見ていました。でも2週間たっても治らなくて、動物病院に連れて行ったら炎症性腸疾患だと診断されたんです。猫のうんちは健康のバロメーター。あなたの猫ちゃんがもし慢性下痢になったら、早めに気付いて適切に対処してあげることが大切です。この記事では、私が獣医師から教わった知識と実際の経験を交えながら、猫の慢性下痢について詳しく解説していきますね。
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- 1、猫の慢性下痢ってどんな状態?
- 2、猫の慢性下痢に伴う症状
- 3、慢性下痢の原因は何?
- 4、どうやって診断するの?
- 5、治療法について
- 6、どんなフードがいいの?
- 7、回復までの道のり
- 8、家でできることは?
- 9、猫の慢性下痢とストレスの関係
- 10、猫の腸内環境を整える方法
- 11、多頭飼いの場合の注意点
- 12、老猫の慢性下痢の特徴
- 13、猫の慢性下痢と水分補給
- 14、FAQs
猫の慢性下痢ってどんな状態?
健康なうんちと下痢の違い
あなたの猫ちゃんのうんちはどんな感じですか?健康な猫のうんちは茶色で形がしっかりしていて、拾いやすくても固すぎないのが理想です。
下痢は、食べ物が腸内で十分な時間を過ごせず、栄養や水分がうまく吸収されない時に起こります。その結果、うんちが柔らかくなったり、ドロドロ、水っぽくなったりするんです。
慢性下痢とは、この状態が何週間も続いたり、繰り返し起こることを指します。特に子猫や老猫、免疫力が弱っている猫は要注意!すぐに動物病院へ連れて行ってあげましょう。
小腸型と大腸型の違い
下痢には2種類あるのを知っていますか?
種類 | 特徴 | 血便の見た目 |
---|---|---|
小腸型下痢 | 量が多い | 黒っぽい |
大腸型下痢 | 量が少ないが回数が多い | 鮮やかな赤 |
うちの猫がトイレで苦しそうにしていたら、それは大腸型かも?と考えるきっかけになりますね。
猫の慢性下痢に伴う症状
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すぐに病院へ行くべきサイン
下痢が24-48時間以上続く場合、または以下の症状が見られたらすぐに獣医さんに相談してください。
・異常なうんちの色(黒っぽい、タール状)
・鮮血が混じっている
・トイレでいきんでいる
たかが下痢と侮ってはいけません。私の友人の猫も最初はただの下痢だと思っていたら、実は深刻な病気だったことがあります。
その他の注意すべき症状
・体重減少
・食欲の変化(増えるor減る)
・元気がない
・嘔吐
・脱水症状
・おならが増える
「猫が最近痩せてきたな」と思ったら、うんちの状態もチェックしてみてください。意外な発見があるかもしれませんよ。
慢性下痢の原因は何?
腸に関連する病気
・炎症性腸疾患
・寄生虫(ジアルジア、回虫など)
・細菌感染(大腸菌、サルモネラなど)
・食物アレルギー
・ビタミン不足
「え?猫にも食物アレルギーがあるの?」と思ったあなた。実はあるんです!特に牛肉や乳製品に反応する猫が多いようです。
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すぐに病院へ行くべきサイン
・甲状腺機能亢進症
・腎臓病
・肝臓病
・糖尿病
・がん
意外かもしれませんが、甲状腺の異常が下痢を引き起こすこともあります。うちの15歳の猫もそうでした。
どうやって診断するの?
自宅でできる観察ポイント
診断の手がかりになるので、猫のトイレの様子を記録しておきましょう。
・下痢の期間
・うんちの見た目
・回数
・良くなったり悪くなったりするきっかけ
スマホで写真を撮っておくのもおすすめです。言葉で説明するよりずっと伝わりますから。
動物病院で行う検査
・血液検査(血球数や臓器の状態を調べる)
・甲状腺検査
・糞便検査
・尿検査
「検査ってたくさんあって大変そう...」と思うかもしれませんが、一つずつ原因を絞り込んでいく大切な過程なんです。
治療法について
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すぐに病院へ行くべきサイン
治療法は原因によって大きく異なります。甲状腺機能亢進症や糖尿病など、腸以外の病気が原因の場合はその治療を優先します。
また、プロバイオティクスやビタミンB12などのサプリメントが有効な場合もあります。私の猫もプロバイオティクスでずいぶん調子が良くなりました。
食事療法の重要性
3-8週間かけて行う食事療法が効果的な場合があります。新しいタンパク源を使った特別食や、消化しやすいように加工した食事を試します。
「でも市販のフードでもいいんじゃない?」と思うかもしれません。確かにそうですが、獣医師推奨の療法食の方が効果が高いことが多いんです。
どんなフードがいいの?
2つの主要な食事療法
1. 低脂肪/高繊維食
→膵炎や感染症、甲状腺疾患のある猫に
2. 新しいタンパク源/加水分解食
→炎症性腸疾患やビタミン不足の猫に
「結局どっちがいいの?」と迷ったら、必ず獣医師に相談してください。猫によって最適な選択が違いますから。
回復までの道のり
治療期間の目安
回復までの時間は原因によって様々です。寄生虫が原因なら数週間で改善することもあれば、慢性疾患の場合は一生治療が必要なことも。
私の経験では、根気強く治療を続けることが何よりも大切です。あきらめずに付き合ってあげてください。
家でできることは?
緊急を要する場合
・子猫や老猫、妊娠中の猫
・血便+嘔吐
・体重減少+元気がない
こんな症状があればすぐに病院へ!自己判断は危険です。
軽度の場合の対処法
・市販の消化に優しいフードを試す
・食物繊維のサプリやカボチャペースト
・猫用プロバイオティクス
「人間の下痢薬を使ってもいい?」
絶対にダメです!猫にとって危険な成分が含まれていることがあります。
数日たっても改善しない場合や、新たな症状が出た場合は必ず獣医師の診察を受けましょう。猫ちゃんの健康は私たちが守ってあげないとね。
猫の慢性下痢とストレスの関係
意外と見落としがちなストレス要因
実は猫の慢性下痢の原因でよくあるのがストレスなんです。私たち人間と同じように、猫もストレスでお腹を壊すことがあります。
引っ越しや新しい家族の増加、他のペットとの関係など、環境の変化がストレスになることが多いです。私の猫も去年引っ越した時、2週間ほど下痢が続きました。
ストレスサインを見逃さないで
猫がストレスを感じている時、下痢以外にもこんなサインを出しています。
・毛づくろいが異常に増える
・隠れる時間が長くなる
・食欲の変化
・攻撃的になる
「え、これってただの性格じゃないの?」と思うかもしれませんが、実はこれらは全てストレス反応の可能性があるんです。特に多頭飼いの場合は、猫同士の関係にも注意が必要です。
猫の腸内環境を整える方法
プロバイオティクスの効果的な使い方
最近話題のプロバイオティクス、実は猫にも効果的です。でもただ与えればいいわけじゃありません。
・猫用のものを選ぶ(人間用はNG)
・冷蔵保存が必要なものもある
・フードに混ぜる時は温度に注意
私のおすすめは粉末タイプ。ウェットフードに混ぜると猫も気づかずに食べてくれますよ。
食物繊維のバランスが大切
下痢の猫に食物繊維は必要ですが、与えすぎは逆効果です。適切なバランスが重要なんです。
食物繊維の種類 | 効果 | 含まれる食材 |
---|---|---|
水溶性食物繊維 | 便を柔らかくする | カボチャ、サツマイモ |
不溶性食物繊維 | 便の量を増やす | ニンジン、ブロッコリー |
「どっちがいいの?」と迷ったら、まずは水溶性から試してみてください。特にカボチャペーストは猫も好むことが多いです。
多頭飼いの場合の注意点
トイレの管理が重要
複数の猫を飼っている場合、トイレの数が足りないとストレスで下痢になることがあります。理想は猫の数+1個のトイレを用意すること。
また、トイレの位置も大切です。食事場所から離れた静かな場所に設置しましょう。私の家ではリビングの隅と寝室に分けて置いています。
食事の与え方にも工夫を
多頭飼いでよくあるのが、他の猫のフードを食べてしまう問題です。これが原因で下痢になることも。
・それぞれの猫に合ったフードを与える
・食事場所を分ける
・時間をずらして与える
「面倒くさいな」と思うかもしれませんが、猫の健康のためなら少しの手間は惜しまないでくださいね。
老猫の慢性下痢の特徴
加齢による消化機能の変化
7歳を過ぎた猫は、消化酵素の分泌が減ってきます。その結果、若い時と同じフードでも下痢になることがあるんです。
・消化吸収力が低下
・腸の動きが鈍くなる
・免疫力が下がる
私の15歳の猫も、最近は特別なシニア用フードに切り替えました。すると下痢が改善したんです。
他の病気との関連性
老猫の下痢は、単なる消化器の問題ではないことが多いです。腎臓病や甲状腺疾患など、他の病気のサインである可能性もあります。
「年だから仕方ない」と諦めずに、定期的な健康診断を受けることが大切です。血液検査や尿検査で早期発見できることもありますから。
猫の慢性下痢と水分補給
脱水症状を見極める方法
下痢が続くと、猫はすぐに脱水状態になります。こんなサインがあったら要注意です。
・皮膚の弾力性が低下(引っ張ってもすぐに戻らない)
・歯茎がねばつく
・目がくぼんでいる
「どうやって水分をとらせればいいの?」
ウェットフードに水を加えたり、猫用の経口補水液を使うのがおすすめです。うちでは猫用の噴水式給水器も使っています。
水分摂取を促す工夫
猫はもともと水をあまり飲まない動物です。下痢の時は特に意識的に水分をとらせる必要があります。
・複数の水飲み場を設置
・流水式の給水器を使う
・ウェットフードの割合を増やす
我が家ではリビングと寝室の2か所に水飲み場を作り、毎日新鮮な水に替えるようにしています。猫もよく飲んでくれるようになりました。
E.g. :猫の慢性下痢症。IBDとリンパ腫について(追記あり) | 武内 ...
FAQs
Q: 猫の慢性下痢と普通の下痢の違いは?
A: 慢性下痢と急性下痢の大きな違いは期間です。通常の下痢が2-3日で治まるのに対し、慢性下痢は2週間以上続くか、繰り返し起こる状態を指します。私の経験では、慢性下痢の場合は単なる食べ過ぎや軽い消化不良ではなく、何かしらの基礎疾患が隠れていることが多いです。特に子猫やシニア猫の場合、脱水症状が進みやすいので注意が必要。うんちの状態を毎日チェックして、異常が続くようなら早めに獣医師に相談しましょう。
Q: 猫の慢性下痢で病院に行くべきタイミングは?
A: 以下の症状が見られたらすぐに動物病院へ連れて行ってください。1) 下痢が24時間以上続く 2) うんちに血が混じっている 3) 嘔吐を伴う 4) 食欲不振や元気がない。私の友人の猫は、血便が出始めてから3日後に連れて行ったら、すでに重度の脱水状態だったそうです。猫は体が小さい分、脱水の進行が早いんです。特に子猫や老猫は、半日でも早い対応が生死を分けることがあります。
Q: 猫の慢性下痢の主な原因は何ですか?
A: 主な原因は大きく2つに分けられます。1つ目は腸自体の病気(炎症性腸疾患、寄生虫、食物アレルギーなど)。2つ目は他の臓器の病気(甲状腺機能亢進症、腎臓病、糖尿病など)です。うちの猫の場合は炎症性腸疾患でしたが、同じ症状でも原因は様々。獣医師の診断なしに自己判断するのは危険です。適切な検査を受けて、根本原因を特定することが大切ですね。
Q: 慢性下痢の猫におすすめのフードは?
A: 症状に応じて2つのタイプがおすすめです。1) 低脂肪・高繊維食(膵炎や甲状腺疾患の場合) 2) 新しいタンパク源のフード(食物アレルギーの場合)。ただし、市販品より獣医師推奨の療法食の方が効果が高いことが多いです。私も最初は市販の消化に良いフードを試しましたが、動物病院で処方された特別食に変えたら、2週間でうんちの状態が改善しました。
Q: 猫の慢性下痢に人間用の下痢止めは使えますか?
A: 絶対にやめてください!人間用の下痢止め(ペプトビスモルなど)は、猫にとって有毒な成分が含まれていることがあります。私の知り合いが自己判断で与えたら、猫がけいれんを起こして緊急搬送されたことがあります。どうしても薬が必要な場合は、必ず獣医師の処方を受けてください。まずは猫用プロバイオティクスや消化に優しいフードから試すのが安全です。